拙作、モロヘイヤについて思うところ。

モロヘイヤのススメという記事が投稿され、拙作 mulukhiya-toot-proxy（以下「モロヘイヤ」）がFediverse民に向けて改めて紹介されました。
とかく分かりにくいツールであるこのモロヘイヤ、「そもそも何が出来るのか」という問いに対して、開発者自身からはWikiやREADMEを用意してはいますが。
利用者の立場で、客観的に書かれた記事にはより本質に近いという一面があり、ほんとに有り難いと思っています。

機能面での具体的な紹介はモロヘイヤのススメにお任せするとして。
このエントリでは、私は何を想ってモロヘイヤを書いているのか。言わば、モロヘイヤの精神面について述べます。

目標

モロヘイヤはプリキュアシリーズのファンのためのMastodonインスタンス、キュアスタ！の為に書かれたのが最初でした。
キュアスタ！を対象とした機能追加を続けるうちに、いつしか「プリキュアに限らずどんな作品であれ、アニメのテーマインスタンスとは相性の良い機能ではないか？」と思う様になりました。

それを試したい目的もあって、私はキュアスタ！と別に、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」をテーマとしたもうひとつのインスタンスデルムリン丼を立ち上げてみました。
キュアスタ！には私の、モロヘイヤの開発を通じた3年分の試行錯誤が込められています。モロヘイヤを使えば、機能面ではキュアスタ！と同じクオリティの特化インスタンスを実質1週間程度で立ち上げられることに驚き、そして確信しました。

アニメ特化インスタンスを立てるためのツール
これが、私自身が密かに持つようになった、モロヘイヤのミッションです。
逆に、中規模以上の汎用インスタンスには向かないと感じています。

実装面での特徴

モロヘイヤの開発に着手する少し前から、改造によってMastodonの最新版に追従できないインスタンスが出始めていました。
改造を手がけている方たちは恐らく、私の数倍の実装力をもったプログラマたちに違いないです。ですから、Mastodonへの改造自体は容易であっても、それを維持することは彼らですら困難な課題であると私は理解しました。
こうした反省から、 Mastodonへの機能追加は外部ツールを通して、入力の加工で出来ることだけをやる。本体改造はやむを得ない部分でのみ行う。 という方針が決まり、ここからモロヘイヤが生まれました。

RubyのSinatraフレームワークがベースです。
当初は「投稿に含まれるURLを適切に書き替える」という単機能ツールの想定だったため、Sinatraの扱いやすさがちょうどよかったこともあります。

当初からキュアスタ！を対象とした割り切った設計で、キュアスタ！より更に小規模なデルムリン丼が対象に加わった今も方針は変わっていません。
例えば、もっと大きなインスタンスで必要とされるようなスケーラビリティーは、設計には含まれません。

ハッシュタグ

モロヘイヤで力を入れている機能は、ハッシュタグです。デフォルトハッシュタグの付与、キーワードのマッチングによる自動タグ、実況用途の自動タグなどなど。
これら全て、アニメ作品のテーマインスタンスを念頭とした機能です。

モロヘイヤをアニメのテーマインスタンスにフォーカスしたツールと考えたときに、自動タグは最も重要な機能であるという位置づけです。投稿と劇中用語の紐づけを行い、メタデータとして持たせる機能と言い換えてもいい。
また、コミュニティ指向の設計を心がけました。例えば、ハッシュタグ辞書への単語登録はGoogleスプレッドシート等のオープンなツールで行い、リアルタイムに近い形で随時更新を行える様にしました。

今はまだ、同じタグを持った投稿のタイムラインが検索・抽出できるだけですが、例えば作品のWikiを外部に作る機能などに発展させられればいいなと思ってます。 好きなアニメについて、語るだけでなくまとめることも、アニメファンの本来的な活動であると考えているから。 その為に必要な用語管理を担うのがこの機能です。

この機能の最終的な用途がまだだいぶ漠然としていた為に、「何を目的とした機能？」という疑問を持った方は過去にも当然いました。言語化に至っていなかった当時の私は、要領を得た答えを返せなかったことを心残りに思っています。
これがその、今の時点での答えなのですが、まだまだ抽象的ですね。

結びに代えて。「アニメのテーマインスタンスを軽率に立てよう」

Fediverseに参加するための選択肢は、キュアスタ！が作られた頃より増えました。
Pleromaはそれほど大きなリソースが必要なく、お勧めの様です。私自身もテストサーバを一応持ってはいますが、あまり使いこなせておらず、伝聞のような言い方になってしまい恐縮ですがw
モロヘイヤは、Mastodon以外にMisskey, Pleroma, めいすきーにも対応します。

「お一人様インスタンス」という言葉があり、その住み心地の良さを多くの方々が受け入れています。同様に、ごく少人数のファンが集まり、限られた人数ではあるが濃いやりとりをするテーマインスタンスがもっとたくさんあってもいいはずです。
特定のアニメ作品に特化したインスタンスを構築すること、モロヘイヤがお手伝いできると思います。出来ることはタグ付けの自動化だけではありません。

世の中にはプリキュアやダイ大以外のアニメ作品が多くあります。
もっと軽率に、インスタンスを立ててみませんか。